手延麺師大学TENOBEMEN COLLEGE

こむぎ博士の手延べ麺講座

手延べ麺には、なが〜い歴史を通して生まれたいろいろな知恵や工夫、
この業界のなかだけでつかわれる用語やきまりといったことがたくさんあるんじゃ。
わしが麺の歴史や製法の違いなど手延べ麺の豆知識をご紹介するぞ。

手延べ麺の豆知識

3万倍から4万倍にひたすら延ばす。

生地を仕込んでから完成までの間、手延べ麺づくりの主な作業は、ただ、ひたすらに細く長くのばしつづけることにあります。
そうめんで30,000~40,000倍に。手延べうどんでも5,000倍にまでのばすのです。これは、生地を30,000~40,000分の1、5,000分の1にまで細くするということですから、まさに気のとおくなるような作業です。

うどんは、そうめんから生まれた。

手延べ麺といえば、もともとは手延べそうめんのことでした。そうめんをつくる過程で、まだ完全にはのばしきれていない「小引き」あたりを自家用にと、ぬきとって食べたところ、これがけっこういけるぞということになって、うどんとして独立したのだとか。ウソのようなホントのおはなしです。余談ですが、うどんの語源はこん飩。これが温飩になり饂飩になったといいます。

手延べそうめんは「極寒製」がいい!?

●麺づくりに用いる水を、天然の地下水にたよっていた頃のなごりで、寒さのきびしい季節は雨も少なく、地下水の水質が安定していて、雑菌の少ない良質の水が得られるというところから、このようにいわれました。

●寒い季節には塩分をおさえて麺をつくることができます。塩分の少ない麺は、「コシ」がつよく、おいしいことから、「極寒製」といわれます。いまのように空調設備のととのった工場でつくる場合は、あまり関係ありません。

イメージ

●麺の乾燥を天日にたよっていたころのなごりで、冬の寒い期間は、晴天の日が多く、品質の安定した麺ができることから「極寒製」の麺といわれていました。

●麺づくりが農家の副業であったころ、ちょうど冬は農閑期で、麺づくりの最盛期。この時期につくられたそうめんは、夏、食べる頃にはちょうど5~6ヶ月がたっていて、そうめんの食べ頃にあたることから、このようにいわれました。

そうめんの「厄(やく)」とは

手延べそうめんは、乾麺とはいえ、梅雨の間、倉庫につんでおかれると麺にふくまれているわずかな量の水分のために、麺が高温発酵します。こうした状態になることを厄といい、こうした状態になったそうめんを「厄済みのそうめん」といいます。 厄済みのそうめんは、ゆでたときからコシがつよく、風味がよくなることから「厄済みそうめん」はいいといわれていました。

「古品(ひね)」とはなんのこと

イメージ そうめんには「古品」と表示されたものがあります。これは一年前に作られたもので 「厄済み」であることをあらわしています。このほかに「古々品」とか「三年物」といったものもありますが、古ければ いいというものではありません。 今は空調設備のととのった工場で作られていて、製造後三ヶ月もたてば厄済みの状態になりますから「古品」の表示がなくても十分おいしい麺であるということができます。

めんは細いほど美味しいの?

糸のように細いそうめんは見た目が美しいこと、それに、つくるのがむつかしいために腕のいい麺師でなければつくれないために生産される量が少ないため高級品とおもわれていますが、細いからおいしいというわけではありません。

そうめんのカビは食べても大丈夫?

そうめんにはえるカビは「厄」の一種で、「厄済み」のあかしといってもいいでしょう。とはいえ、高温発酵してはえるカビは、「白カビ」のことで、「青カビ」もさしつかえはないものの、ゆでたあと、よく洗い流してのぞいてください。

★当社のそうめんで、もし「青カビ」のはえたものがありました場合は、さっそくお取りかえいたします。

古くなったそうめんについた虫

そうめんは小麦粉をつかっていますから、古くなると虫が発生したり、また、ほかの食品から虫がうつることがあります。食べて害にはならないとはいうものの気持ちのいいものではありませんから保存には十分注意してください。

麺の保存方法

虫がついたり、変質をさけるためにも、湿気のない温度の低いところで保存してください。

手延べ麺にも太さの基準がある

イメージ 手延べの麺は、機械でつくる麺のように太さが一定ではありません。太さがそろってないのが、手延べ麺のあかしだといわれるくらいですが、それでもいちおう太さの基準がきめられていて、「番」という単位であらわします。これには、むかしからの尺度が基本になっていて、たとえば二十五番といえば、一本の麺の太さが一寸(約3cm)の25分の1であることをあらわしています。

イメージ ●手延べ素麺
・太そうめん 24番~29番(約1.6mm~1.2mm)
・普通品 33番(約1mm) ・極細品 40番(約0.75mm)
★このように一本の太さを基準にした場合と、10gの重さで何本の麺があるかを基準にする場合もあります。
 ・普通品65~75本 ・極細品150本
●手延べうどん 15番(約2mm)より太いもの
●冷麦・蕎麦・中華麺は素麺とうどんの中間位の太さ

麺の色は、真っ白ではありません

かつては、漂白した小麦粉を用いていましたから麺の色が白っぽかったこともありましたが、いまは、すべて無漂白粉を使っていますので麺は、うすいベージュ色をしています。いやに白っぽい麺や黒ずんだ色のものはさけて、おいしそうな色あいのものをえらんでください。

手延べ麺の特有の呼び名

イメージ 手延べ麺の工程のところで学んだように、2本の竹の管にかけた麺を、およそ2mくらいの間隔になるまでのばします。均一の力でのばしますが、各部分が同じ太さになることはありません。その一本をとりだしてみると、図のように、両端が細く、なかほどが太くなっています。この1本を六等分して、それぞれに、手延べ麺業界だけの、特有のよび名がついています。

手延べ麺か機械麺か

手延べ麺は、すでに、おわかりのように生地を時間をかけて細め、つくりあげる麺。いっぽうの機械麺は、生地をローラーでのばして麺の形にカットして仕上げる麺。
まったくちがう製法の麺をどちらがいいとかでくらべることはムリ。とはいえ、なぜか機械麺のなかには「手延べ風」とか「準手延べ」といった表示をしたものがあるのは、どうして・・・?

こむぎ博士
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